今も当時も多くのミュージシャンから一目置かれる伝説のギタリスト、ジミ・ヘンドリックス。
まずは何から聴けばよいか分からないというビギナーに向け、おすすめのスタジオアルバム3枚とライブアルバム1枚の合わせて4枚を紹介します。
アイキャッチ画像撮影:筆者オガミ キヨ
①最初に聴くなら「アー・ユー・エクスペリエンスト(Are You Experienced)」
これからジミ・ヘンドリックスを聴いてみたいという方には、まずこちらの1stアルバム(1967年発表)がおすすめ。
ジミ・ヘンドリックスの名が広く知れ渡るきっかけになったデビューシングル※「Hey Joe」や、続くヒット作「Purple Haze」をはじめ人気曲が多数収録されています。
以下、アルバムの人気曲を4曲見ていきましょう!
※当初「Hey Joe」と「Purple Haze」はイギリス盤には収録されず、アメリカ盤のみに収録
フォクシー・レディ(Foxey Lady)
作詞・作曲:ジミ・ヘンドリックス
ジミの演奏を特徴付ける、フィードバック奏法から始まります。
うねるようにヘヴィーなギターリフが印象的で、多くのミュージシャンにカバーされ続ける名曲です。
女狐のようにずる賢くてセクシーな女性、そんな意味を持つ表題にリンクするようなジミのセクシーなギターパフォーマンスが観られます。
ファイアー(Fire)
作詞・作曲:ジミ・ヘンドリックス
疾走感のあるタイトなミッチ・ミッチェルのドラムに、ジミの切れのよいギターリフが軽快な人気曲。
こちらもレッド・ホット・チリ・ペッパーズをはじめ、多くのアーティストにカバーされています。
紫のけむり(Purple Haze)
※当初はアメリカ・カナダ盤のみに収録
作詞・作曲:ジミ・ヘンドリックス
ジミ・ヘンドリックスといえば、この曲! ともいわれる代表作。
悪魔的とされる不協和音のイントロのリフなど、型破りな発想でジミが革命児と呼ばれるきっかけとなった楽曲です。
バッキングでは、当時ロックであまり使われなかった、通称ジミヘンコードと呼ばれるギターコード「E7#9th」の響きが聴けます。
ヘイ・ジョー(Hey Joe)
※当初はアメリカ・カナダ盤のみに収録
作詞・作曲:ビリー・ロバーツ
全英チャート6位を記録し、ジミがイギリスで注目されるようになったデビュー曲。ロック定番曲のカバーです。
この動画では、歯でギターを弾くジミの姿が見られます。
②より実験的な「アクシス:ボールド・アズ・ラヴ(Axis:Bold As Love)」
数多くのツアーをこなしながら、バンドの演奏にも脂が乗ってきた頃に録音された2ndアルバム(1967年発表)。
ギターをレスリースピーカーにつなぐなど、実験的なサウンド作りでサイケデリックな要素が数多く取り入れられた作品です。
ここでは、厳選した2曲を紹介します。
スパニッシュ・キャッスル・マジック(Spanish Castle Magic)
作詞・作曲:ジミ・ヘンドリックス
豪快なギターリフが、いかにもジミらしい楽曲。
バンドとして成長した力強い演奏は、聴き応えがあります。
リトル・ウィング(Little Wing)
作詞・作曲:ジミ・ヘンドリックス
多くのギタリストからもカバーされる、哀愁ただよう名バラード。
ギターをレスリースピーカーにつなぎ、ハモンド・オルガンのようなビブラートをかけています。
③エクスペリエンスの集大成「エレクトリック・レディランド(Electric Ladyland)」
エクスペリエンスが目指した音楽の、集大成とされる1967年発表の3rdアルバム。
ジミのアルバムで初めて全米1位を獲得しました。
イギリス盤では、ジミの意向を無視して女性のヌード写真がジャケットに使われ、ジミの怒りを買ったというのは有名な話です。
傑作が多いと言われる本作から、厳選したおすすめ2曲を紹介します。
クロスタウン・トラフィック(Cross Town Traffic)
ファンキーなグルーヴが感じられる、ファンの間でも人気の高い楽曲。
アグレッシブなギターリフに、キャッチーなサビとコーラスなど聴きどころ満載です。
ヴードゥー・チャイルド (Voodoo Child 〈Slight Return〉)
当時はまだ使う人が少なかったワウ・ペダルを、音楽シーンに浸透させたといわれる楽曲。
イントロのカッティングからワウを踏み、オンとオフを繰り返すなどさまざまなワウサウンドの表現が聴けます。
④ライブ盤のおすすめ「ライヴ・アット・ウッドストック(Live at Woodstock)」
最初にライブ盤が聴きたいなら、1999年発表の本作がおすすめ。
2枚組で、ジミの代表曲を中心に収録されています。
ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの解散直後、新たに結成されたジプシー・サンズ&レインボウズとして伝説のライブ「ウッドストック」に出演しました。
ウッドストック・フェスティバルとは、ベトナム戦争真っただ中のアメリカで反戦、愛と平和を主張する若者40万人が集まった野外コンサート。この時ジミはトリを努め、圧巻のパフォーマンスを見せています。
3分で読めるジミ・ヘンドリックスの略歴
1942年アメリカ・シアトル生まれ。
ジミは、ブルースやロックンロールを聴きながら15歳から独学でギターを始めます。
音楽にのめり込みプロとしてデビュー後、しばらくはカーティス・メイフィールドやアイク&ティナ・ターナーのバックミュージシャンとして活動していました。
1966年、後にジミのマネージャーになるチャス・チャンドラーに見いだされ渡英。そこでオーディションにより集めたメンバーで、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスが結成されます。
【ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのメンバー】
・ノエル・レディング(ベース)
・ミッチ・ミッチェル(ドラム)
・ジミ・ヘンドリックス(ギター&ボーカル)
1stシングル「Hey Joe」がヒット、ジミの代名詞とも言われるギターに火を付けるパフォーマンスなどによりロンドンで注目を浴びます。
その後1stアルバム「Are You Experienced」を発売すると、母国アメリカでも人気に火がつき、ほかのミュージシャンからも一目置かれる存在に。
一躍スターダムにのし上がった彼らは、アメリカ・イギリスをはじめ各地でのツアーと、レコーディングとの超過密なスケジュールを余儀なくされます。
そのうちバンド内で摩擦が生まれるようになり、1969年にベースのノエルが脱退、そのままエクスペリエンスも解散しました。
直後にジプシー・サンズ&レインボウズが結成されるも、ほどなくして解散。
続いてバンド・オブ・ジブシーズとして新たに活動を開始しますが、こちらも長くは続きませんでした。
そして新しいマネージャーの画策によりミッチ・ミッチェルを再びドラマーに迎え、エクスペリエンスが復活します。
しかし、ようやく新たに舵を切れると思った矢先の1970年9月18日、ロンドンのホテルでジミが死亡しているのが発見されました。
享年27歳。
死因はワインの多量飲酒に加え、睡眠薬を摂取したことによるものといわれています。
ギターの革命児「ジミ・ヘンドリックス」
ギターを燃やしたり歯で演奏したりといったセンセーショナルなパフォーマンスはもとより、型破りなサウンドの追求や卓越した奏法によりギターの革命児と呼ばれたジミ・ヘンドリックス。
惜しくもデビューから、わずか4年ほどでこの世を去りますが、そのサウンドは今聴いても斬新で多くのミュージシャンからリスペクトされています。
今回紹介した楽曲以外にも数多くの名曲を残していますので、ぜひ聴いてみてくださいね。