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「ピンク・フロイドの狂気」は、なぜ名盤なのかを徹底解説!

世界的に名盤として位置づけられているピンク・フロイド(PInk Floyd)のアルバム「狂気(The Dark Side of the Moon)」。

しかしながら、なぜそこまで評価が高いのかと疑問に思う人も多い作品です。

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実は自分もはじめて聴いた時は、あまりピンと来なかったです(汗)

そこで、本アルバムの魅力について深堀りしてみたいと思います!

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2分でわかる!ピンク・フロイドのアルバム「狂気」とは?

撮影:運営者

アルバム「狂気」の概要と収録曲は、以下の通り。

・1973年に発表

・8作目のスタジオ・アルバム

・「ザ・ウォール(The Wall)」と並ぶ代表作

ピンク・フロイドは、1965年ロンドンで結成。初代ギター・ボーカルのシド・バレット(Syd Barret)を中心に、サイケデリック・ロックバンドとしてスタートしました。

しかし、1968年にシドがドラッグによる精神疾患で脱退。その後、以下4人のメンバーで新たなサウンドを模索しはじめます。

デヴィッド・ギルモア(David Glimour)ボーカル、ギター *シド・バレット脱退後に加入

ロジャー・ウォーターズ(Roger Waters):ベース、ボーカル

リチャード・ライト(Richard Wright):キーボード、ボーカル

ニック・メイスン(Nick Mason):ドラム

以降、ピンク・フロイドは哲学的な歌詞と実験的なサウンドにより、※プログレッシブ・ロックの先駆者といわれるようになりました。

その数年後、1973年に発表した作品が「狂気」です。

内容は、1曲ごとに異なるメッセージを持つ楽曲10曲を自然な形でつなげたコンセプト・アルバム。

アルバムには、スキャットボーカルのクレア・トリー(Clare Torry)と女性コーラス4人を起用。サックスにディック・パリー(Dick Parry)が参加し、壮大なサウンドづくりに貢献しています。

本作はビルボードのアルバムチャート200位以内に、なんと15年間も続けてランクインしたモンスター・アルバムなのです。

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この記録はギネスにも認定されています!

※プログレッシブ・ロックとは…1960年代後半にイギリスで誕生したロックのジャンルのひとつで、進歩的、革新的なロックを意味する

 

「狂気」はなぜ名盤といわれ続けているのか?

ここからは、コンセプト・アルバムである「狂気」が、なぜギネス記録を達成するほどの名盤になったのか詳しく見ていきましょう。

ジャンルを超えた音楽ファンに愛される楽曲

プログレッシブ・ロックというと、実験的で難解な音楽というイメージがあり、一部のコアなロックファンにしか受け入れられない作品も多々あります。

しかし「狂気」の収録曲を聴いてみると、あらゆるジャンルから影響を受けているのがよくわかります。曲調はポップなものが多く、決してプログレッシブ・ロックの範疇だけには収まらないポピュラー音楽史の名盤ともいえる内容です。

上記のことを踏まえつつ、アルバムの中からサウンドに特徴のある4曲をピックアップしてみました。さっそく聴いてみましょう。

①Pink Floyd – Time

アメリカン・ロックのような曲調に、女性コーラスとギルモアの力強いボーカルが印象的です。

②Pink Floyd - The Great Gig In The Sky

全編にわたり、クレア・トリーのソウルフルなスキャットが聴けます。魂の叫びを歌うゴスペルのような雰囲気を持つ楽曲です。

③Pink Floyd - Money

アルバムからシングル・カットされ、ヒットした人気曲。

ブッカー・T&ザ・MG's (Booker T. & the M.G.'s) から影響を受けたという、ポップでもありファンキーでもある曲調です。

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デヴィッド・ギルモアのリードギターがパワフルでGOOD!

Booker T. & The MG's - Green Onions

④Pink Floyd - Us And Them

オルガンや壮大なコーラス、ドラマティックなボーカルと、どれを取っても美しい楽曲。ジャンルを問わず多くの音楽ファンに親しまれる内容です。

普遍的なテーマを扱ったわかりやすいコンセプト

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「狂気」のメッセージ性のあるコンセプトはロジャー・ウォーターズによるもの。人間の心理という普遍的で、わかりやすいテーマを扱っています。

例えば「タイム」は時間を浪費する愚かしさ、「マネー」では金銭的欲望をシニカルに描き、「アス・アンド・ゼム」では紛争を通して人間の狂気を表現。

そしてラストの「狂気日食(Eclipse)」では「全てのものは太陽の下で調和を保っている、しかし太陽は月に食される」と、人間が持つ闇の部分(月の裏側)について触れています。

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ここからは、アルバムが発するメッセージを筆者なりに考察してみました。

アルバム全体を通して「心の闇に潜む狂気や欲望こそが、人間から幸せを奪っている」と警鐘を鳴らしているように受け取れます。

しかし、アルバム最後の「There is no dark side of moon really, Matter of fact it’s all dark」(本当は月に裏側なんてない、実のところ全て真っ暗なんだ)というつぶやきからは、「人間はもともとみんな闇を持つ生き物だ」という「救い」のメッセージが聞こえてくるようです。

ヒプノシスによる芸術的なジャケットワーク

ヒプノシス(Hipnosis)とは、1968年に発足したイギリスのデザイン・アートグループ。数々のレコードジャケットを手がけ、芸術の域まで高めたことで知られています。

彼らはピンク・フロイドのアルバムジャケットを多数デザインしており、「狂気」もそのうちのひとつです。音楽史に残る名デザインも、「狂気」が世界的名盤になった一因としてあげられるでしょう。

革新的なレコーディング技術

アルバムでは心臓の鼓動やキャッシャーの音、人のつぶやきや笑い声などが全編にコラージュされ、聴く人の気持ちを揺さぶります。

アナログシンセサイザーとテープエフェクトを駆使したこれらの手法は、当時としては革新的でした。

プロデューサーのアラン・パーソンズと、ミキシング担当のクリス・トーマスによる音作りは、いつの時代に聴いても心地よく響きます。

2人の技術力の高さが、このアルバムに対する高い評価をを決定づけたと言っても過言ではありません。

 

まとめ

ピンク・フロイドのアルバム「狂気」が名盤とよばれる理由を、さまざまな角度から検証しました。

本作は10曲でひとつのストーリーになり、聴くたびに発見があります。最初から最後まで繰り返し聴くと、作品の中の異世界にどっぷりと浸れることでしょう。

参考文献:立川芳雄(2010)『プログレッシヴ・ロックの名盤100』リットーミュージック

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オガミ キヨ

オガミ キヨ

「◆提携ライター」 音楽、美容・健康、EC、リユース他、多ジャンルのメディアで執筆中のWEBライター。ギター歴20年。レコード収集と純喫茶めぐりが趣味の一児の母です。