今からエリック・クラプトンの曲を聴いてみたいけど、アルバムがたくさんあってどこから手をつけたら良いのか迷っていませんか?
この記事では「超入門編」と題し、まずは聴いておきたいおすすめのアルバムと代表曲のみを厳選してご紹介します。5分ほどで読めるので、ぜひアルバム選びにお役立てください。
アイキャッチ画像撮影:運営者hope
いとしのレイラ(Layla and Other Assorted Love Songs)
撮影:運営者hope
・1970年
・受賞歴:グラミー栄誉の殿堂入り(2000年)他
収録曲:
クラプトンは、ヤードバーズやクリームなどの活動を経て、ギタリストとしてもすでに実力が評価され知名度がありました。
しかし「知名度に頼らず音楽がしたい」クラプトンは、自分の名前は一切伏せて「デレク・アンドザ・ドミノス」名義でこのアルバムを発表します。
この時期のクラプトンは、親友であるジョージ・ハリスンの妻、パティ・ボイドに夢中でした。その許されない想いがアルバム全編に反映されています。
「レイラ(Layla)」
一度聴いたら忘れない印象的なギターリフが、今でも多くのロックファンの心を掴むクラプトンの代表曲。
「レイラ」とはまさにパティのことを指しており、彼女の愛を乞うストレートで情熱的なラブソングです。
「ベルボトム・ブルース(Bell Bottom Blues)」
こちらもパティ・ボイドへの愛を歌った曲だと言われていますが、ツアー中に出会った女性に捧げた曲だとの説もあります。いずれにせよ「レイラ」と同様、狂おしいほどの愛情表現が綴られた熱烈なラブ・ソングです。
「リトル・ウィング(Little Wing)」
原曲は、ジミ・ヘンドリックスのバラードです。クラプトンとジミは年齢が近く、同じギタリストとして親交を深めていました。
しかし、アルバムの発表を前にジミが急死。完成したカバーヴァージョンを聴くことはかないませんでした。
461オーシャン・ブールヴァード(461 Ocean Boulevard)
撮影:運営者hope
・制作年:1974年
・全米チャート4週連続1位にランクイン
収録曲:
前述のアルバム「いとしのレイラ」発表後、スライド・ギターなどで参加したデュアン・オールマン(オールマン・ブラザーズ・バンド)がバイクで事故死。
その他友人ジミの死や、親代わりだった祖父の死、パティへの実らぬ恋などから、クラプトンのドラッグ・アルコール中毒が加速しました。
その結果クラプトンは音楽活動をほぼ止めてしまい、1970年から約3年にわたる空白の期間を過ごしましす。
そして薬物依存を克服した後、1974年に発表されたのが本アルバムです。1970年代中期の彼の楽曲の特徴である、※レイドバックした作風が堪能できます。
※レイドバックとは…くつろいだ、リラックスしたの意。肩の力を抜いたおおらかなビートを指します。
このアルバムの代表曲を1曲だけあげるとすれば、この曲です。さっそく聴いてみましょう。
「アイ・ショット・ザ・シェリフ(I Shot The Sheriff)」
原曲は、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのレゲエナンバーです。1970年代に入りレゲエは多くのミュージシャンから注目を浴びつつも、そこまでメジャーではありませんでした。
この曲をクラプトンがカバーすることで、レゲエをメインストリームを押し上げるのに一役買ったと言えるでしょう。
スローハンド(Slowhand)
・1977年
・全米チャート2位、トータル74週に渡りチャート・イン
収録曲:
アルバム名の「スローハンド」というのは、クラプトンの異名です。
どんなに速いギターリフを弾いても指の動きがゆっくりに見えるくらい、運指に無駄がないことから名付けられました。
「コカイン(Cocaine)」
原曲はクラプトンが最も影響を受けたアーティストだという、シンガーソングライターのJ.J,ケイル。
クラプトンは、もともとブルースを自分の解釈で昇華させカバーするのが得意なアーティストです。
「ワンダフル・トゥナイト(Wonderful Tonight)」
クラプトンは、長年思いを寄せたパティ・ボイドがジョージ・ハリスンと別居したと知り、久しぶりに彼女に連絡を取ります。そして、ついにパティはクラプトンの元へ。
この曲は、クラプトンがパーティーに出かける前の身支度に時間をかけるパティを待ちながら書いた曲です。
切ないメロディーが胸に刺さる名バラードです。
アンプラグド〜アコースティッククラプトン(Unplugged)
・制作年:1992年
・グラミー賞アルバムオブ・ザ・イヤー、全米チャート1位
収録曲:
MTVアンプラグドで演奏された、アコースティックライブを収録しています。
14曲のうち、8曲が古いブルースのカバーで、クラプトンの原点に回帰した内容です。
その中で、クラプトンがウィル・ジェニングスとともに作った名曲をご紹介します。
「ティアーズ・イン・ヘブン(Tears In Heaven)」
パティ・ボイドとまだ婚姻関係にあった頃(後に離婚)、クラプトンはイタリア人女優、ロリー・デル・サントとの間に一児をもうけます。それが息子のコナーです。
コナーは未婚の母となったロリーの元で育てられていましたが、クラプトンは自分によく似た息子を愛していました。彼にも父親としての自覚が芽生え、ある日息子を動物園に連れていく約束をします。
その日、コナーはクラプトンの迎えを待ちながら階段を駆け上がっていました。そして不幸にも、偶然開いていた高層マンションの踊り場の窓から転落死してしまうのです。まだ4歳半でした。
クラプトンは、ショックのあまりしばらく家に引きこもってしまいます。その間に書き上げたうちの1曲が「ティアーズ・イン・ヘブン」でした。歌詞の一節をご紹介します。
Would you know my name
If I saw you in heaven?
Would it be the same
If I saw you in heaven?もし天国で会えたら僕の名前を覚えていてくれるかい?
もし天国で会えたら前と同じでいられるだろうか
I must be strong
And carry on
'Cause I know I don't belong
Here in heaven僕は強くならなくちゃ
これからも生きていかなきゃいけない
だって僕は天国にはいられないから
クラプトンは家で曲を書いていた期間、しっかり禁酒を守っていたようです。以前のようなアルコールとドラッグ漬けの自堕落な日々とは決別したいという意志が、歌詞からも伝わってきます。
【番外編】
最後におすすめアルバムからはそれますが、クラプトンの代表曲としておさえておきたい曲をもう1曲だけご紹介します。
「チェンジ・ザ・ワールド(Change The World)」
アメリカの女性カントリーシンガー、ワイノナ・ジャッドの曲のカバーです。
クラプトンのカバーヴァージョンは1996年公開の映画「フェノミナン」に起用され、世界的な大ヒットを記録。全米のアダルト・コンテンポラリー・チャートでは1年半もチャートインするロングヒットとなりました。
さいごに
これからエリック・クラプトンの曲を聴きたいという方に、最低限おさえておきたいおすすめアルバムと代表曲をご紹介しました。
気になったアルバムがあれば、ぜひ一度他の収録曲も聴いてみてくださいね!