プログレッシブ・ロックの金字塔的存在で、50年以上も進化し続けた「キング・クリムゾン」。
プログレッシブ・ロックといえば「キング・クリムゾン」と「ピンク・フロイド」が双璧を成すといわれるほどです。
キング・クリムゾンは独自の世界観を展開しながらも、絶大な人気を博したバンドです。
この記事では、キング・クリムゾンの魅力を経歴やおすすめの曲などもまじえて解説します。
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キング・クリムゾンとは、どんなバンド?
King Crimson - 21st Century Schizoid Man (Live at Hyde Park 1969)
キング・クリムゾンは、ロバート・フリップ(ギター)を主宰としたプログレッシブ・ロックバンドで1968年にイングランドで誕生しました。
ここでは、キング・クリムゾンの長いキャリアを大きく4つの時期に分けて紹介します。
プログレッシブ・ロックってなに?
プログレッシブ・ロックは「進歩的」「革新的」なロックといった意味で、主な特徴は以下の通り。
- ロックにクラシックやジャズの要素も混在している
- 変拍子や複雑な楽曲構成
- シンセサイザーやメロトロンなどの音色が入っている
不規則に感じられるプログレッシブ・ロックは、ノリや雰囲気を重視する音楽とは真逆の立ち位置にある音楽ジャンルです。
クリムゾン・キング期(1960年代末~1970年代前半)
King Crimson - 21st Century Schizoid Man (Including "Mirrors")
キング・クリムゾンは、1969年10月10日に「In The Court Of The Crimson King(邦題:クリムゾン・キングの宮殿)」をデビューアルバムとして発表します。
レコーディングメンバーは以下の通り。
・ロバート・フリップ(ギター)
・グレッグ・レイク(リード・ボーカル、ベース)
・イアン・マクドナルド(キーボード、メロトロン、他)
・マイケル・ジャイルズ(ドラム、パーカッション、他)
・ピート・シンフィールド(作詞、照明)
「クリムゾン・キングの宮殿」のアルバムは、1969年に全英チャート1位だったビートルズの「アビーロード」をトップから引きずり降ろしたアルバム! と一部で紹介されましたが、これは誤りで実際は全英チャート5位でした。
しかし、この「クリムゾン・キングの宮殿」は高く評価されプログレッシブ・ロックという音楽ジャンルが確立されたともいわれています。
当時、売れていた音楽は「楽しむ」「踊る」といった感覚の曲が多い時代でした。しかし、キング・クリムゾンは「熟考」「想像させる」といった方向性だったのです。
ノリや雰囲気を重視する感じやすい音楽がチャートインしているなかで、クラシックやフリージャズを思わせる複雑な世界観を展開していたため、キング・クリムゾンは異質な存在になります。
ディシプリン・クリムゾン期(1980年代前半)
King Crimson - Discipline
1974年、キング・クリムゾンは最初の解散を経験します。
キング・クリムゾンのリーダーであるロバート・フリップは、ディシプリンというバンド名でキング・クリムゾン解散後もこれまでとは異なるメンバーとライブを繰り返しました。
ディシプリンは、すぐにキング・クリムゾンという名前に改名。
そのため名前は同じではあるものの、ディシプリン・クリムゾン期はクリムゾン・キング期とは異なるバンド、もしくは違ったスタイルのキング・クリムゾンであると思ったほうが良いかもしれません。
ディシプリン・クリムゾン期の特徴は、ニューウェーブの取り込みです。
新しい要素を取り入れましたが、クリムゾン・キング期に感じられた文学的な世界観や管弦楽器やメロトロンがなくなったため、初期からのファンは落胆したようでした。
ロバート・フリップも、歴代キング・クリムゾンで傑作アルバムを選出したときにはディシプリン・クリムゾン期のアルバム「ディシプリン」を挙げています。
ヌーヴォメタル期(1990年代中半~2000年代中半)
King Crimson - The ConstruKction Of Light
キング・クリムゾンは、1984年に2度目の解散を経験しました。
ロバート・フリップは、1994年に6人編成の3人2組のユニットを配置するダブルトリオというスタイルを考案します。
再始動したヌーヴォメタル期のキング・クリムゾンは、プログレッシブ・メタルです。
ギターサウンドにヘヴィーな要素がある以外にも、メタルを彷彿させる高度な演奏技術を披露しています。
ヌーヴォメタル期のキング・クリムゾンは、メンバー間の確執が表面化して休止期間に突入する2004年まで継続しました。
円熟期(2010年代中半以降)
King Crimson - Starless
ロバート・フリップは、2014年に音楽活動再開を発表します。
この時期のキング・クリムゾンは、ライブ活動がメイン。
3人のドラマーを配置したトリプルドラムと呼ばれる編成や、8人編成となったダブルカルテット・フォーメーションが特徴です。
2010年代中盤以降には、アメリカや日本など世界各地でライブを行ったり、意欲的にライブ活動を行います。
2021年にはコロナ禍でありましたが、北米ツアーを実施。
北米ツアーの最後は、日本で終了しました。
キング・クリムゾンを聴くならどの曲がおすすめ?
では、さっそくキング・クリムゾンのおすすめ曲を紹介しましょう。
時期別をまんべんなく味わうならこの4曲
時期によって雰囲気が異なるキング・クリムゾンを、まんべんなく味わいたい場合には以下の曲がおすすめです。
①クリムゾン・キングの宮殿(The Court Of The Crimson King)「クリムゾン・キング期」
②太陽と戦慄 (Larks' Tongues in Aspic)「クリムゾン・キング期」
③Elephant Talk「ディシプリン・クリムゾン期」
④THRAK「ヌーヴォメタル期」
キング・クリムゾンを初めて聴く1曲目なら①の「クリムゾン・キングの宮殿」がおすすめです。
クリムゾン・キングの宮殿をあえてひとつの言葉にするなら「様式美」。
楽曲中にプログレ要素は満載ですが、絶妙なバランスで壮大な世界観が繰り広げられています。
プログレッシブ・ロックが誕生した瞬間を感じてください。
まとめ
芸術家のような独特の世界観があるキング・クリムゾン。究極のオリジナリティが魅力ですね。メンバーの高齢化が進みバンドは終焉へと向かっていますが、50年以上も進化し続けたキング・クリムゾンの世界をあなたも味わってみませんか。