持ち家がない場合、定年退職後に賃貸物件を借りられるのかどうか不安をお持ちの方も多いかと思います。高齢になると入居審査に通らないのでは? と心配になりますよね。
この記事では、定年退職後に賃貸契約をする8つの方法について解説します。
定年退職後に賃貸契約を結べる?結べない?
結論から言うと、定年退職後は※入居審査に通りにくくなりますが、契約可能な方法はあります。
まず、入居審査に関わる貸主と保証会社のアンケート結果を見てみましょう。
以下の円グラフでは、賃貸物件の貸主の約6割が高齢者との契約に対し何らかの拒否感を抱いていることがわかります。
続いて、下のデータは家賃債務保証会社へのアンケート結果です。50代では審査に落ちる人の割合が2割であるのに対し、60代以降は4割となり審査落ちしやすくなるのが現状です。
しかし、同時に60代でも約半数近くが審査に通っているのも現実。定年退職後は審査に通りにくいものの、賃貸契約を結ぶ方法はあるのです。
引用元:「家賃債務保証の現状」(平成28年6月)国土交通省
※入居審査とは……貸主、管理会社、保証会社により、家賃やトラブルの可能性がないかどうかを審査すること
シニア世代が入居審査に通りにくい理由
では、シニア世代が入居審査に通りにくくなるのは、どういった理由からでしょうか。主に以下の3つがあげられます。
収入面の不安
定年退職後は収入源が年金のみ、老後資金に余裕がない人もいます。そのため、家賃を滞納されてしまうのでは? と懸念する貸主も多いです。
健康面の不安
高齢になると、急な体調の変化による入院で、連絡が取れなくなることも起こりえます。単身者の場合は孤独死によって物件の価値を下げてしまうリスクも考えられるでしょう。
トラブルへの不安
認知の衰えによるトラブルも、不安要素のひとつです。よくある例では、石油ストーブや調理器具からの失火など。また認知が進むと、被害妄想や徘徊といった問題も起こるようになり、近隣住民とのトラブルもしばしば報告されています。
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定年退職後でも賃貸契約ができる8つの方法
定年退職後でも賃貸契約をするために、知っておきたい具体的な方法を8つご紹介します。
お子様を代理の契約者にする
30代〜50代の収入が安定したお子様がいらっしゃる場合は、お子様の名義で賃貸契約を結ぶ方法もあります。
契約者が高齢の居住者の近くに住んでいるなら、なお審査に通る可能性が高くなる傾向に。
連帯保証人をたてるケースもありますが、その場合は他の親族をつけるとよいでしょう。
②身内の連帯保証人をたてる
高齢者本人が契約する場合、別世帯の若い世代の親族を連帯保証人とするのも審査に通りやすくなるコツです。
高齢者の場合、兄弟や配偶者も高齢であることがほとんど。連帯保証人は、安定した収入のあるお子様などが想定されます。
緊急時の対応の観点から保証人が契約者の近くに住んでいると、さらに審査に通りやすくなります。
③民間の家賃保証会社を利用する
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ここ最近、保証人不要で「保証会社にご加入頂きます」という条件付きの物件が多いですね。
家賃保証会社とは、賃貸物件の契約時に保証人を代行する会社。入居者が事情により家賃を支払えなくなった場合、代わりに家賃を立て替えて支払います。
利用には収入や年齢を含めた審査があり、借主は定められた保証料を保証会社に支払う必要があります。
④家賃債務保証制度を利用する
連帯保証人となる親族がいない場合、一般財団法人の「高齢者住宅財団」が行う家賃債務保証サービスを利用する手段もあります。60歳以上が利用でき、家賃滞納や原状回復費用の保証を行います。
保証料は月額家賃の35%で、民間の家賃保証会社とほぼ同じ金額で利用が可能です。
この制度は財団と基本約定を結んだ賃貸住宅のみに適用されるので、ご注意ください。
くわしくは「家賃債務保証制度のご案内」へ!
⑤身元保証サービスを利用する
連帯保証人がいない場合、保証人を請け負うサービスを提供する法人があります。
家賃に特化した「家賃保証債務制度」とは違い、
入院や老人ホームへの入居時の保証人なども請け負うのが「身元保証サービス」です。 保証内容は団体により異なり、緊急時の対応から日常生活の支援まで行うこともあります。
できてから約10年ほどの新しいサービスですが、高齢化の加速とともに今後さらに需要が高まっていくでしょう。
⑥セーフティネット住宅制度を利用する
2017年にスタートした、国による施策です。
日本では住宅確保が難しい高齢者の増加が想定される一方で、民間の空き家・空き室も増加傾向にあります。その両者をマッチングする仕組みがセーフティネット制度です。
セーフティネット住宅として登録された賃貸物件は、国土交通省の基準を満たすよう改修され、住まいを見つけるのが難しい人に安価で貸し出されます。
参照元:「住宅セーフティネット制度について」国土交通省
セーフティネット住宅の検索は「セーフティネット住宅 情報提供システム」へ!
⑦UR賃貸を利用する
UR都市機構が運営するUR賃貸住宅では、高齢者向けに国とURが家賃の一部を補助するサービスを展開し、住居問題の解決に取り組んでいます。
UR賃貸住宅は、基本的に連帯保証人や家賃保証会社の利用が不要です。(※物件によって条件が異なります。)また礼金などの一部の初期費用、更新料が不要なのが特徴です。
詳しくは「UR賃貸住宅 高齢者向け賃貸住宅」へ!
⑧「シニア相談可」の物件を探す
空き室をなくすために、あえて高齢者が借りやすいよう「シニア相談可」としている物件があります。高齢入居者は若い世代に比べ転勤や引っ越しの可能性が低く、貸主からすれば長期間の入居が見込めるというメリットがあります。
また不動産会社が直接所有する物件なら、管理会社や保証会社といった複数の審査を受ける必要がありません。審査落ちの可能性を減らせるのでおすすめです。
審査で落ちても、あきらめないで!
シニア向けの物件は、方法さえ押さえておけば借りられる手段はあります。しかし条件面など、まだまだ十分とはいえません。
賃貸物件を探す際は、1件目で審査に通らなかった場合でも違う物件では通ることもあります。あきらめずに数社まわってみるとよいでしょう。