日本では、3大ロック・ギタリストの1人として知られる「ジェフ・ベック」。
2011年には、ローリング・ストーン誌の最も偉大な100人のギタリストで第5位に選出されています。
そんなジェフベックですが、ではいったい彼の何が凄いのでしょうか。
経歴を振り返りながら、彼の凄さをひも解いてみたいと思います。
ジェフ・ベックの経歴
ジェフ・ベックは、1944年にイングランドの中流家庭で生まれます。
子どもの頃にギターを手にしてから、2023年の1月まで音楽活動を継続しました。
ジェフ・ベックが在籍していたバンド
- ザ・ナイト・シフト……学生時代に初めて組んだバンド。ライブ活動を始める。
- トライデンツ……ナイト・シフトの次に組んだ学生時代のバンド。初めて音源をリリース。
- シリル・デイヴィス&ジ・オールスターズ……人気バンドの前座を経験。プロキャリアをスタート。
- ヤードバーズ……エリック・クラプトンと入れ違いに加入。ジェフ・ベックの人気が高まる。
- ジェフ・ベック・グループ……1960年代後半~1970年代前半まで活動。安定した成功を収める。
- ベック・ボガート & アピス……1970年前半~後半まで活動。
しかし、2023年1月11日、まさかの訃報が届きました。
編集部 Tが人生において最も影響を受けたギタリスト「JEFF BECK」。2017年の仙台公演は今も目に焼き付いています。
どうぞ安らかに……。心よりご冥福をお祈りいたします。
January 11, 2023
On behalf of his family, it is with deep and profound sadness that we share the news of Jeff Beck’s passing. After suddenly contracting bacterial meningitis, he peacefully passed away yesterday. His family asks for privacy while they process this tremendous loss.
出典:ジェフ・ベック公式HPより
【翻訳】
2023年1月11日
彼の家族を代表して、深く深い悲しみとともにジェフ・ベックの訃報をお伝えします。突然の細菌性髄膜炎にかかり、昨日安らかに息を引き取りました。彼の家族は、この途方もない損失を処理している間、プライバシーを求めています。
ジミーペイジと出会うジェフ・ベックの学生時代
学生時代に初めてのバンド「ザ・ナイト・シフト」を結成。
ジーン・ヴィンセントやエディ・コクランの曲をコピーして、ライブ活動を行ったのが18歳になる頃です。
次に組んだ「トライデンツ」では、初音源「ベッコロジー」を発表。
続くシリル・デイヴィス&ジ・オールスターズでは、ジミー・ペイジやロン・ウッドの前座を務めます。
学生時代にジミー・ペイジと出会います。
すでにジェフ・ベックは、独特でテクニカルなギターを弾くと、ちまたで有名でした。
そうした経緯もあり、2人は出会ってすぐ親交を深めます。
「ヤードバーズ」
ジェフ・ベックは1965年にジミー・ペイジからの誘いで「ヤードバーズ」に加入。
脱退したエリック・クラプトンの後釜という難しい立ち位置でした。
しかしジェフ・ベックは、ここでも成功を収めます。
「Heart Full Of Soul(ハートせつなく)」やカバー曲「Train Kept A Rollin′」で人気を獲得し、1965年には全米ツアーも成功。
人気は高まっていましたが、メンバー間の確執や健康上の問題を理由にジェフ・ベックはバンドを脱退します。
「ジェフ・ベック・グループ」
その後も音楽活動を続けるジェフ・ベックは「ジェフ・ベック・グループ」を結成。
そして、さらに新たなバンド構想の話が持ち上がります。しかし、ジェフ・ベックが交通事故を起こしてしまい白紙に。
ケガの回復後、日本では「第2期ジェフ・ベック・グループ」と呼ばれたバンドを結成したものの、空中分解。1972年に解散しています。
「ベック・ボガート & アピス」
1972年には、トリオ体制で「ベック・ボガート & アピス」を結成。しかし、こちらもメンバー間との確執により、約2年で解散していまいます。
この時、ジェフ・ベックが取り入れた「トーキング・モジュレーター」という、ギターがしゃべるような音に驚いた方は少なくないはず。
ポイント
ジェフ・ベックはカリスマ性のあるギターの実力はバツグンだけど、バンドメンバーとのトラブルが絶えなかった!
その後はソロ活動
バンドを短期間で解散・脱退したジェフ・ベックですが、彼はすでに人気ギタリストでした。
ソロ活動で自身の音楽を表現しながら、他ミュージシャンのツアーやレコーディングにもゲスト参加します。
1975年に発表したソロアルバム「Blow by Blow(ギター殺人者の凱旋)」は高い評判を得ており、ギターインストゥルメンタルの名盤とも称されました。
1989年のソロアルバム「ギター・ショップ」では、グラミー賞のベスト・ロック・インストルメンタル・パフォーマンス賞を受賞。
時期によって雰囲気や頻度は異なりますが、ツアーやレコーディングなども安定しています。
ジェフ・ベックの凄さを4つ紹介
有名ギタリストには、言い得て妙な異名が付きがちですよね。
ジェフ・ベックの異名は「孤高のギタリスト」。
孤高というと…… なんだか、近寄りがたいイメージです。
ジェフ・ベックは、いわばこだわりの強い職人気質のギタリスト。
気難しい一面があるものの、ずば抜けたテクニックを駆使したギタープレイは唯一無二です。
ここでは、ジェフ・ベック独特の凄さを紹介します。
①「繊細なニュアンス」ギターの指弾き
現在のジェフ・ベックはエレキギターであってもピックを使わず、指でギターを弾いてます。
ジェフ・ベックが完全に指弾きに転向したのは、1980年代のなかばでした。
右手の親指と人差し指をピックのように素早く動かすギタープレイは圧巻!
②ロックとファンク、ジャズの融合「Blow by Blow」
ソロ活動で発表したアルバムの「Blow by Blow」は、商業的成功とギタリストとしての名声も確立します。
ギタリストがギターインストゥルメンタル(以下、ギターインスト)でアルバムを発表するのは、今ではそう珍しくはありません。
しかし、当時はギターインストの知名度は低く斬新でした。
「Blow by Blow」は、ギターインストとして異例のビルボード・チャートで4位を獲得。
ロックとファンクが融合したジェフ・ベック独特の世界観で商業的成功も収めます。
③執念を感じるほどの「引き出しの多さ」
ジェフ・ベックの音楽は、1つのジャンルにとらわれることなく華麗で自由なギターミュージック。
ロック、ジャズ、ファンク、ハードロック、ロカビリー、フュージョン…… ざっと挙げるだけでも、こんなにあります。
アルバム「WIRED」に収められている「Goodbye Pork Pie Hat」は、チャールズ・ミンガスが作曲したジャズのインストゥルメンタル曲で有名ですね。
探求心に溢れるジェフ・ベックは、時期によって全く違うアーティストにも感じられるほど。
もはや「ジャンル=ジェフ・ベック」といっても良い独自性を確立しています。
単に独自性があるだけでなく、ギターテクニックもずば抜けているのがさらに凄いところ。
ジェフ・ベックの多様な雰囲気は、音楽やギターに対する情熱が感じられます。
④アームを使ったジェフ・ベックらしい音
ジェフ・ベックのトレモロアームの使い方は独特で非常に個性的。ネコの鳴き声のような音から攻撃的な音まで自由自在です。
ジェフ・ベックの凄さは唯一無二
残念ですが、ジェフ・ベックは亡くなってしまいました。
しかしながら、ジェフ・ベックの凄さはギターの可能性を追求した独自の世界観を表現していたところではないでしょうか。
2020年には、ジョニー・デップと継続的な音楽活動をすると発表していましたね。
常に革新的な音楽を発表し続けたジェフ・ベック。
彼の凄さは唯一無二。あなたも彼の音を感じてみてはいかがでしょうか。
最後に「哀しみの恋人達」のLive動画をお聞きください。