江戸時代以前に使用されていた日本の「くずし字」。母体となる漢字(字母)を崩して書かれたものが多く、なかなか読めませんよね。 でもご安心ください。 スマホのくずし字用アプリを使えば、スマホのカメラで古文書(こもんじょ)などを撮影するだけでAIが解読してくれるようになりました。 博物館の古文書など、今まで触れてこなかった歴史の欠片が自分で読めるようになります。そんな優れもののくずし字用スマホアプリ。 いったいどんなアプリなのでしょうか。さっそく見てみましょう。
くずし字用アプリおすすめ3選
筆者おすすめのくずし字用アプリを3つ紹介します。
①「古文書カメラ」古文書も古典籍もOK!解読率90%を誇るアプリ
古文書カメラ
TOPPAN PRINTING CO.,LTD.無料posted withアプリーチ
古文書カメラの「範囲指定モード」では、フルオートで誤読した部分も個別にAI解読のかけ直しができます。AIが提示する複数の候補文字から選択が可能です。 pic.twitter.com/ttDBiljYkH
— ふみのは【TOPPANの古文書解読関連サービス】 (@fuminoha_jp) June 1, 2023
凸版印刷株式会社が開発した、くずし字解読アプリ「古文書カメラ」。2023年6月1日に配信が開始されています。 当初は、古文書解読支援システム「ふみのはゼミ」を開発し法人向けに公開していました。ところが、個人から「一般向けサービスを展開してほしい!」との要望が多く寄せられたためスマホ用の開発を進めて「古文書カメラ」のリリースが決まったそうです。 木版を用いて印刷されたくずし字に対応したAI-OCRと、手書きの古文書に対応したAI-OCRという2種類のAI-OCRを搭載。これにより、幅広い古文書の解読ができるようになりました。 「古文書カメラ」の解読率は驚異の90%を誇っており、幅広いさまざまな資料を解読できるのが特徴です。
②「みを」くずし字を携帯で撮影するだけ!AIが解読してくれるアプリ
miwo
Tarin Clanuwat無料posted withアプリーチ
詳細は、みを公式HPをご覧ください。
無料くずし字翻刻アプリ「みを」を使ってみました。すごい!はやい! ですが精度は完璧ではない様子。 けれどほぼ意味はとれるかなと思います。 (2行目は「欲し給ふ」「藤五郎」だし、守勝は「御供」です) pic.twitter.com/Uclt3RpDp1
— 萩梅 (@umehagi102) August 4, 2023
「みを」は、ROIS-DS人文学オープンデータ共同利用センターがリリースしたくずし字認識アプリです。
約100万文字の「くずし字データセット」を学習したAIが、カメラで撮影した資料をわずか数秒で現代の日本語に変換してくれます。
くずし字を読めない方の活用はもちろん、専門家の現地での下読みにも役立っています。誰もが直感的にアプリを利用できることから、2022年度グッドデザイン賞も受賞しました。
なんと、アプリの開発者はタイ人の女性タリンさん! 子供のころから日本の古典文学に魅了されてきましたが、昨今の日本人の古文、漢文離れを残念に思い「みを」が親しむきっかけになればいいなと思いこのアプリを開発したそうです。 タリンさんのSNSには「家にある掛け軸が読めず、悩んでいたので早速DLして使わせていただきました。やっと長年のモヤモヤがすっきりしました!」と思わぬ場面での活躍を実感した使用者さんからの声も寄せられたのだそうです。 開発者の熱い思いが感じられるアプリですね。
③「KuLA」アプリでくずし字を学んで自分で解読
くずし字学習支援アプリKuLA
Yuta Hashimoto無料posted withアプリーチ
詳細は、KuLa公式HPをご覧ください。
また、こちらはくずし字学習支援アプリの「KuLA」です🙌🏻 くずし字の用例画像を参照しながら、楽しく手軽にくずし字を学ぶことができます☺️ アプリには、「つながる」という機能もあり分からない文字をオンラインで質問することもできるんです✨️ #はこのつぶやきhttps://t.co/DZxA9N69MK
— 【公式】開運☆せいめい歌占/Good luck☆Seimei Utaura (@seimei_utaura) September 26, 2022
私のように古文書が読みたくても読めない人😭を、少しずつ読めるように導いてくれるアプリ。 くずし字を学びながら、翻刻付きの方丈記、しん板なぞなぞ双六、新刀銘尽後集で何度でも繰り返し読む練習ができます。 オススメです👍 くずし字学習支援アプリKuLA #くずし字 #KuLA https://t.co/lxiMKvIE2v
— Seraphim(数寄の沼) (@JzK8fSU5xhMueJ6) June 21, 2023
「KuLA(クーラ)」は、2016年に大阪大学を中心に開発されたくずし字を学習するアプリです。解読アプリとは違い、自分で学んでいき解読することを目的としてつくられました。
ゲーム感覚で学べるため、取り組みやすいのではないでしょうか。「KuLA」には主に3つの機能があり、学ぶ機能、読む機能、つながる機能が備わっています。
学ぶ機能は、ゲーム感覚でくずし字を習得。読む機能では、実際に江戸時代に刊行された和本の画像を使用して、くずし字の読解訓練ができるようになっています。
江戸時代の和本以外にも、方丈記や新版なぞなぞ双六、新刃銘尽後集などボキャブラリーに富んだ古文書の練習が可能です。
また「つながる機能」を使えば、他のユーザーさんとオンラインでコミュニケーションを取ることができます。どうしても読めないくずし字がある場合、つながる機能を利用して他のユーザーさんにオンラインで質問できるのは便利ですね。
くずし字用アプリの便利な機能
くずし字用アプリにある便利な機能を紹介します。
①解読結果を保存してくれる
スマホで撮影した「くずし字」を読み取った後、解読された文章をテキストスタイルや画像形式で保存する機能を搭載している。 解読結果が保存できれば、必要な時にいつでもスマホの画面から見られますので便利な機能ですね。
②一文字検索ができる
高い解読率を誇るAIでも、やはり完璧というわけではありません。なかには一文字だけ薄れていたり、読み取り結果に誤りがあることも。 一文字だけ読めなかった場合でも、おかしな文章になることがあります。そんな時に活躍するのが、不明な文字だけを調べられる「一文字検索機能」。 読み取りはできているのに文章が成立していないのは、AIが似ているくずし字を誤って認識し解読している場合がほとんど。 一文字だけ誤って認識したとしても、もう一度その文字だけを検索できるため、こちらもたいへん便利な機能です。 先に紹介したアプリは、この機能をカバーしていますのでご安心ください。
くずし字に触れる最初の一歩
一見とっつきにくい印象を抱く「くずし字」。スマホを使えば、とても身近に感じると思います。
美術館や博物館だけではなく、家に眠っている歴史の記録や書籍、さまざまな古文書の解読のお供に、あなたもくずし字用アプリを使って日本の古典文学に触れてみませんか。